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2023.03.02
N分N乗方式とは?
フランスの少子化対策に一役買ったとされ、今、日本でも注目を浴びている制度ですが、一体どんな制度なのか?
一言で言うと、子供が多いほど減税になる仕組です。
まず、大前提になるのが所得税が累進課税になっている国に有効という事。日本は累進課税ですのでその点はクリアです。そして、大きく変わる点が、所得税を個人に課税していたものが、世帯に課税するという事です。
具体例を出すと、年収が夫900万、妻300万であれば、各々に課税税率が計算され各々に課税されていたものが、世帯年収1200万と合算されるという事です。そして、その合算された年収を家族で割り、その数字で課税税率を計算して(税率が低くなる)、家族分を掛けて(元に戻す)納税額を決める仕組みとなります。
具体例・年収1200万円で控除額(基礎控除、社会保険料控除、扶養控除など)を引いた課税所得が762万円とした場合
①片働きの場合
762万円の税率が23%になるので175.2万円、そこに累進課税の控除額63.6万円を引くと、約112万円が納税額です。
②共働きの場合(夫900万、妻300万 ⇒ 課税所得は夫517万、妻109万)
夫517万の税率が20%になるので103.4万円、そこに累進課税の控除額42.75万円を引くと、60.65万円
妻109万の税率が5%になるので5.45万円、そこに累進課税の控除額0円を引くと、5.45万円
60.65万円と5.45万円を合算した66万円が納税額となります
③N分N乗(子供が一人で家族が3人とする)
762万を3人で割ると254万円、254万の税率が10%になるので25.4万円、そこに累進課税の控除額9.75万円を引くと約16万となり、最後に家族3人分を掛けて48万円が納税額となります。
①②③をまとめると、片働き112万円、共働き66万円、N分N乗48万円と納税額が小さくなっています。家族が増えれば割る人数が増えるのでその分税率が下がり更に納税額が減るという事ですね。
そして最後に懸念されている問題点を挙げると、高所得者が有利になる、共働きは受ける恩恵が少ない、課税されない低所得者には恩恵がない、所得税収が下がるので税制の抜本改革が必要となっています。