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2020.10.19
犬笛戦術
4年に1度行われる米国の大統領選が11月に迫ってきました。米国の政治や経済だけでなく、世界にも影響を及ぼすリーダーだけに多くの人々の関心が集まります。そこで今回は米大統領選を巡るトランプ氏の発言から、特定の有権者にアピールする「犬笛戦術」をご紹介します。
犬笛とは、犬にしか聞こえない周波数で鳴る笛のこと。犬の調教に使いますが、人間の耳には聞こえません。そこから転じて、政治家が特定の有権者を意識して、その人たちにアピールする表現の演説をすることを犬笛戦術と言います。
米国の大統領選挙は終盤戦を迎え、激しい戦いを続けていますが、ここでトランプ大統領が「犬笛戦術」を使っているという指摘が相次いでいます。
たとえば9月29日に行われた大統領候補討論会で、司会者がトランプ大統領に白人至上主義者を非難するか質問したところ、大統領は「下がって待機せよ」(stand back and stand by)と言ったのです。
ここで問題になった白人至上主義者とは、黒人差別に反対する人たちのデモ行進などに武器を持って押しかけて妨害する団体のことです。
トランプ大統領の発言は、「やめておけ」と言ったようにも聞こえますが、白人至上主義者たちには、「いざという日に備えて待機しておけ」と激励しているように聞こえたのでしょう。過激な白人至上主義者には激励に聞こえる。これぞ「犬笛」です。
劣勢を強いられているトランプの起死回生の戦術となるのか、残り2週間と迫った大統領選に注目ですね。
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